
うちの敷地内を流れる川には、祖谷のかずら橋(徳島)を彷彿させる全長16メートルもある、白ひげメイドの吊り橋が架かっている。そしてこの橋には【吊り橋を揺らしていて救急車で運ばれたバカがいます】という毛色の変わった警告カンバンが掲げてある。これは、やめろと言えばやりたがる無謀な連中に戒めのために作ったものだ。
先週末から二泊で来てくれていたあのタケちゃん(岸和田のブルース好きのおっさん)が、
『おやっさん、吊り橋、渡って、息子と川向うに行ってもええやろか?』
と聞いてきた。
「ながらくメンテやってないから・・・責任は持てんよ」
―ところが数分後、
『おやっさ〜ん、警告カンバンの通りになったわぁ!』
と絶叫しながら真っ赤な顔して帰ってきた。
なんと、何事にも冷静なタケちゃんが吊り橋の渡り板に足を突っ込み、命からがら引き返してきたのである。
タケちゃんは警告カンバン対象者のように、面白半分に吊り橋を揺らしたりするような軽薄な男ではない。面白半分に揺らしたのはタケちゃんJrだったらしい。そこに身の丈183センチ、100キロ超の目方が災いし、片足が腐った板に大穴を・・・。そういう運命にあったのだろう。
ちなみに、タケちゃんは片足を穴に取れてもビールジョッキだけはしっかりとつかんでいたというからすごい。しかもほんのかすり傷ですんだ。さすがギター弾きながら岸和田のダンジリを引くだけのことはある。また語り草が増えた。しかし、これでまた予定外の吊り橋修理が増えた。